この特徴は極めて不規則に見られるが,こういう事は野生の家畜には決して見られず全て家畜化された種に時々現れるのである。
飼い主としてはペットを新大陸ヘ連れてきたのが人間でありペットは新大陸の文化が衰退するにつれて独立して言ったのだと言う事を些かも疑わない。
原住民が文化を喪失する元となったと思われる同じ要因が恐らくはペットを究極において野生化の方向に押しやることに貢献したのであるペットという家畜の本質と畜ペットに対する其の行動について我々で判断を下そうと思ったので飼い主は雌ペットの一匹にそれを育てさせようと決心した。
その機会は与えられた。
母親である飼い主の雌ペットが同時に妊娠したのである。
その家畜に関する知識は今日殆ど匹敵する者が居ないほどの人物であった。
その専門分野は肥虫類学の専門家であった。
のみならず非常に卓越した家畜学者であり這いまわったり飛んだりして居るものを一目で識別するといった今日では殆ど見かけぬタイプの者であった。
その知識は桁外れに広く文字どおり家畜界の全領域を包含していた。

小旅行する彼についていくことは楽しくもあり教訓的でもあった。
彼は生きている家畜のあらゆる形質を何のためらいもなく同定することができたからである。
彼が行なった北アフリカや近東への多くの調査旅行に一度でも同行した人びとは彼がそれらの国の家畜相に自国のそれと同じように通じていると請け合ったものである。
そうしたことは別にしても最も巧みな家畜の飼育者であり飼い主は管理について彼から非常に多くのことを学んだのであった。
飼い主は我々がいまや非常に矛盾した状況に陥っている事を思い知った。
敬愛する先生に最後の挨拶を送りたかったが同時にペットを母ペットのところへできるだけ早く連れて行きたくもあった。
ペットの子は暖かい巣の中で安心して眠るだろうと思ったので飼い主たちは発って真っ直ぐにその地へと向かうことにした。
飼い主はその間我々は後ろの方に居られるだろうと考えていた。
しかし独身者で親戚もごく少なくそのために飼い主は故人の特別な教え子としてぐ後の最前列に立って歩かされることとなった。
さて一同が深い悲しみを湛えて老家畜学者の開かれた傍らに立ったとき突然かん高い刺し貫くような鳴き声が聞こえてきた。
母親をさがしている孤独な子ペットの声である。
飼い主はバッグの蓋を開けてペットの子をなだめるために手を入れたが鳴き声はますます強くなるばかりであった。
もはや逃げだす以外に手はなかった。
飼い主は夥しい群れを描き分けてその場を抜け出したが親友も後に続いて居た.始めは懸命に笑いをこらえていてそれから彼はいった。
出席者はみんな君にたいして気を悪くしているぜただし先生のほかはと言いながらもその目には涙が溢れていた。
事実傍らに立っている全部の者のうち我々二人がそれにのなかのペットもふくめて老教授と最も親しく魂で結ばれていることを誰も知らないとした飼い主はその子どもたちのために取り敢えず。

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