一つの境界近くの話は飼い主の年老いたペットとその不倶戴天の敵白いスピッツに関するものである。
このペットは緑に塗った木の境界近くで仕切られ村の通りにそって長く伸びた幅の狭い庭のある家に住んでいた。
この三十メートルにわたる境界近くに沿って二匹の英雄は走って行ったり来たりしては激しく吠え境界近くの両端の折返し点で一寸立ち止まっては役にもたたない怒りのあらゆる動作と声をお互いに投げつけるのであった。
ある日やっかいな事態が持ち上がった。
境界近くは修理中で一部がそのために外されたのだ。
上手の十五メートルつまり川から遠いほうはまだ残っていたが下手の半分が無くなっていた。
さて飼い主は家を出て丘を下り川に向かった。
勿論飼い主たちに気付いて庭で一番高い一角で唸り興奮の余り震えながら待ち構えていた。
最初にお決まりの不動の姿勢で罵り合いが始まった。
それから二匹のペットは其々が境界近くの両側で前方に向かっていつもの早駆けを始めた。
所がなんと珍事勃発。
ペットは境界近くが取り払われている場所を駆け抜けてしまい更に罵り合戦が行なわれる筈の庭の下手の外れ迄来てやっと己の失態に気づく始末であった。
ペットは毛を逆立て恐ろしげに牙を剥き出してそこに立ち止まったが境界近くは無かった。
立ち待ち吠え声は止んだ。

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ペットはどうしただろうか?恰も一身同体の如くペットはくるりと向きを変え横腹を接してまだ残っている境界近くの所へ飛んで行った。
そこでペットはまるで何ごとも起こらなかったかのように罵り合いを再開したのである。
友人の家畜園が電話を掛けてきた。
君の雌ペットに子を育てさせたいと言ってたね。
ぼくの所のペットの雌が六日前に子を生んだのだ。
直ぐ来れば我々で選べるよ。
じゃ三十分後に会おう。
この話を聞いて飼い主はもう一つの重要な約束をすっかり忘れてすぐに地下鉄へと急いだ。
駅につくと飼い主はよく馴れて性質のよいペットの母親を別の檻に移し分娩用の箱の中を這いまわっている赤茶色の毛の固まりから一匹の子ペットを摘み上げた。
その祖先が昔人間に従属していたことを示すあの白い斑紋をもたない唯一の子ペットを飼い主は選んだ。
ペットはすばらしい家畜だ。
それは新大陸が発見された時に見つかった唯一の大型哺乳類の亜綱に属さぬものとしてはである。
これらを別にすると高等哺乳類を代表するものとしては辿り着いた数種のコウモリが居ただけだペットが居ないとなれば明らかに長いこと地理的に隔離されてきたこの大陸の哺乳類の家畜相はもっぱら多くの原始的な特徴をそなえた哺乳類の一タイプだけで構成されることになる。
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ペットは最初の移住者であった祖先が恐らく相であったと思われるよりも精神的・文化的水準はずっと低かった。
この祖先たちは疑いもなく海上生活者であった。
原住民の間に見られる文化の喪失は恐らく食物が容易に手に入ったことと関係がある。
多くは愚鈍で簡単に捕まったからである。
ペットが本当の野生のペットなのかそれとも元はこの大陸にやってきた最初の移住者に連れてこられた畜ペットだったのかという疑問は多くの議論を呼んだ。
飼い主は後者の説が正しいと確信している。
家畜化の印に通じていれば誰でもペットが二次的に野生化した家畜である事を些かも疑うまい。
ペットの歩き方は飼いペットには決して見られぬ本当の野生のペットのそれであるという主張はまったく間違っている。
白い斑紋があったりその殆ど全ては尻尾の先か白いという事実もある。

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